GTZ Triangle Red Dragon

 赤いGTZをデザインしたくて、まず自分の中に寓話のストーリーを描きました。赤は太古から「火」や「血」を連想させ、人を高揚させる情熱のカラーです。300KM/hで疾走する「真っ赤なポルシェ」や、F1の「フェラーリレッド」は、傍観者である我々にも活力を与え、エネルギーがみなぎり、アドレナリンを分泌させますね。

GTZのRed Dragonは、時代をもう少しさかのぼって、「赤」が呪術や魔除け、欲望などをイメージさせる、西洋の寓話から飛び出した、闇夜のドラゴンが噴き出す火炎のイメージです。 ギタリストのパフォーマンスに、躍動感を与え、ステージではばたき、撓るウイングをイメージする、まず、上目遣いのフレイム・メイプル・トップを松崎氏に厳選していただきました。これは、大好きなギタリスト「デュアン・オールマン」のレスポール・スタンダードにも通じる木目です。カラーは、特注の ドラゴン・ブラッド・シースルー・チェリー。二つが相まって、ギタリストを邪悪な世界へと誘います。 寓話では、ドラゴンを退治するには、溶岩で熱した剣で心臓をひと突きにせねばなりません。三首(みつくび)のドラゴンに 戦いを挑む騎士のごとく、ギタリストにスリルと冒険を与え、ステージでほえる5オクターブのEをカバーする24Fの咆哮が聞こえるでしょう。 プリテンダーズのジェームズも、ステイタスクオーのリックも虜になったドラゴンのモチーフ私なりに昇華させたHearts&Soul Ezperimentalシリーズ唯一の「赤いギター」なのです。

ボディのトップをフラットにするかアーチにするかは、迷いました。GTZは、同じボディシェイプでのデザイン・バリエーションを模索するコンセプト・プロジェクトですから、アーチが「同じボディシェイプ」のカテゴリーに入るかが、課題です。皆さんも、「レスポール・スタンダードとジュニアは、正面からみると同じようなLPシェイプなのに、立体として接触すると、まったく異なるデザイン」と感じるでしょう?今回は、「カラーと木目と微妙なアーチ」について、考えながらのデザインでした。

とにかく、新しいことにチャレンジするときは、「決断は軽く、面白そうな方向へ」ですね。トラ目に躍動感を与えることができていれば、成功です。

赤いギターといえば、「シャアのフライングV」か・・・・。

(文責:三ツ井忠)