ZemaitisとPJEとGTZ (2025/3更新)

この項でご覧いただくのは、ZemaitisとPatrick James Eggle、そしてGTZのスタジオ・ショットです。イングランドの名匠「トニー・ゼマイティス」の完璧な美と、そこからインスパイアされたデザインが、ギターを愛し製作家を志すすべての若者達に、創作活動のヒントを与えてくれることを願っています。

Vintage Maniacs (VM): ・・・とかなんとか言っちゃって、結局ヴィンテージ・マニアックスのアーカイヴですよね。
三ツ井: うーん、「元も子も・実も蓋も・味も素っ気も無い」言い方だけど、Zemaitisってなかなかハウス・スタジオでの撮影を紹介する機会がないからさ。せっかくなので、Stay with Tでもご紹介しようと思って。
VM: この時の撮影会、写真集出してくださいよ。あ、それと「“身”も蓋も無い」ですよ、漢字。
三ツ井: えっ、そうなの?

VM: 目黒のStudio EASEさん、ほんとにいつお邪魔しても、アンティークな佇まいと、多角的に取り入れた自然光が素敵です。ここを借り切っての撮影、随分贅沢してますね。
三ツ井: この時は、写真家の龍山悠一先生と後藤珠己さん、パフォーマーの紫穂さんをはじめ、沢山のスタッフの皆さんにお世話になりました。ギターも21本持ち込んで、シャカリキに撮影したね。

VM: トップの写真、このトライアングルは、ほとんど公開されたことのないZemaitisのディスク・フロントだと思いましたが。
三ツ井: 豪華なデザインに、背景のやさぐれたマンハッタンのアパートっぽさが、ドラマチックだろ?
VM: 自分で褒めないでくださいよ。 そもそも、ラウンドディスクでさえ、数本しか作ってないのに、なんか、このデザインをみると、溜息が出るというか、良く思いつきますね、トニーさんは。
三ツ井: 彼をアーティストと呼ぶ所以だな。
VM: 三ツ井さんが一番好きなZemaitisって、どれなんですか?
三ツ井: うーん、全部が全部、大好きだから。何本か選ぶって難しいなあ。
VM: じゃあ、僕が選んであげますよ。 えーっと・・・・。
三ツ井: いつもの事だけど、ほんと「ズケズケしい」ね。


VM: これ、どうですか?
三ツ井: Patrick James EggleのDiscusね。最高にCoolだよ。ブリッジのデザインも趣向を凝らしていて、コンパクトに機能的。インダストリアル・デザインとして逸品だね。
VM: Zemaitisじゃないんだ。なるほどに、トニーからの影響を色濃く出しながらも、オリジナリティをしっかりと発揮しています。デザインとユーティリティーの両方が完成していますね。
三ツ井: ディスクのエングレイヴィングは、ダニー(オヴライエン)だから、共通したテイストがあるよ。
VM: 英国人同士、通じるところがあるんでしょうかね、TonyとPatrickは。
三ツ井: ダニーに彫金を頼むときは、なるべく丁寧なデッサンを準備すると良いよ。適当なリクエストを出すと、適当なことにならんとも限らんから。
VM: あ、悪口言ってる。(笑)
三ツ井: いやいや、職人さんへのリスペクト。 このイラストみると、「おー、ここまで描くのか」って思うよね。

VM: ほかのPJEも、見たいです。
三ツ井: どう? インパクトあるよね。
VM: うひゃ~、これはゴテゴテしてて、アメコミっぽい。
三ツ井: 3PUのDiscusは、ヴィンテージ・ギブソンのTVイエローっぽい、木目が透けて見えるフィニッシュ。
VM: この人、GibsonのLP Jrとか、好きそうですねえ。
三ツ井: ジュニアのタイトなサウンドと、ステージ映えするデコレーション。カスタム・ギターの真骨頂ってところかな。



三ツ井: 宇崎竜童さんの髑髏インレイも、抜群の存在感だと思わない?

VM: これなんか、対比が面白いですよ。本来無機質なはずのギターが、紫穂さん演じる「生命感の無い純白の石膏スタチュー」をバックに、むしろ躍動感が出ている。
三ツ井: 君の解説、シンプルな感覚を難しそうに語るから、講釈感が出ているぞ。
VM: 写真を順番に見ていくだけでも、結構ボリュームありますね。次はGTZです。
三ツ井: GTZは、同じデザインが無いから、見比べて楽しんでください。

ミルキーホワイトを基調とした、ニューハンプシャー。12Fのインレイがステージで輝きます

ランダムに貼られたゴールド・パーリーがステージ映えする、Yellow Monkey。

骨格標本写真集「BONES(湯沢英治著:早川書房)」からインスパイアされたインレイデザインデッサンした骨格標本は、「レッサーパンダ」。愛嬌のある外観とのギャップが面白い。マホガニー製のバックパネルにも、ダイナミックなインレイを施している。松崎淳渾身の作品


Tonyからインスパイアされたハンドメイド・ギターといえば、キース(リチャーズ)やBilly Gibbons愛用で知られた、アメリカンなデザインの「Newman Guitars」も、ある種の正統派Zemaitisフォロワーとして ロック・テイスト満載です

ターコイスのワンポイント・インレイが無機質なメタルプレートに彩を添える

ダニーの彫金が並ぶ工房

Vintage Guitar Magazineで紹介されたメタルフロントとソリッドカラーの二機種