Guitar Design 4 Hand made
しかし、そのAlembicやBC Richは、確かに最高級カスタムギターとしてスタートしていますが、徐々にポピュラーになると、楽器店の店頭で見る事のできるレディーメイド的なセミ量産ギターへと変化していきます。自分自身だけの特異なスペックをオーダーすることは、可能であっても合理的ではありませんでした。また、それを一人の職人が最初から最後まで製作してくれるわけではありません。腕時計で例えれば、いわゆるRolexやOmegaのように一般的な高級ブランドがGibsonやFenderだとすると、Alembicや当時のBCRichは、パテックやバセロンであって、一人だけで何時間も作業して作り上げるカビノチェとは異なります。
そんなカスタムギターの黎明期に、突然スターダムに表れたのが、Zemaitisです。Facesのロン・ウッドとテツ・山内によって、メディアでの露出度は頻繁なのに、その製作者についての情報がなく、ロック・ギター・ミュージックのファンたちは、こぞって「あれは、なんというギターだ」となりました。
私も、その一人です。どうやらオーナーのインタビューを追っかけると「自分だけのために、作ってもらいに英国の田舎まで、製作者に合いにいった」とか「徹夜で飲んだ」とか「気に入らないと作ってくれない」とか、そんな断片的な情報だけは解ってきた。ものすごく興奮しました。まさに唯一無二のカビノチェ・ワールドであり、幼い私の心拍数は、宝島の発見以上に盛り上がりました。
ローリーのインタビュー 「トニーに会いに行ったよ」
自分だけのために、自分のアイデアを盛り込んだ、ハンドメイドのギター。Zemaitisを、そういったジャンルに勝手に定義づけ、自身が抱く憧れや、追いかける憧憬を盛り込んで、実現するかもわからない「自分だけのZemaitisのカスタム・メイド・ギター」をスケッチブックに描く日々がスタートしたのです。
エングレイヴのアイデア
ギターを描いているときが幸せ！
