Guitar Design 3 Gibson and Fender
2.カスタムメイド的なもの
カスタム・メイド・ギターのデザインについて
エレキギターのスタンダード・モデルといえば、一般にLes Paul、SG(Gibson社)、Stratocaster・Telecaster(Fender社)の四つのデザインですね。これらは1960年代には既に確立されたコンセプトとして、幅広い音楽ジャンルで活躍してきました。また、後年は多くのバリエーションにも進化しています。
伝説的美しさを誇るレスポール
60年代に登場したSG
西海岸のストラトキャスター
テレキャスター
四つのモデルで一世風靡したGibson/Fenderは、60年代にファイアーバードやムスタングなど、あたらしいデザインにチャレンジして、飽きられないように努力しています。しかし、70年代になると、この2大メーカーがラインナップしていないスペックを秀逸にデザイン処理したメーカーが登場します。複雑なコントロールスイッチや、24フレット、スルーネック構造*を採用した高級カスタムメーカーのAlembicやBC Richです。
ダブルネックもBCRichが作るとこうなる
Alembicはレスポールとファイアーバードを合体して、エキゾチックに昇華したエゴイスティックな外観が人気を博し、ロックのみならずジャズやフュージョンというジャンルにまで進出していますし、BC Richは文字通り「成功したロックスターが持つ最高級ハンドメイドギター」という雰囲気をぷんぷんさせ、それこそ「どうやって使うんだろう的スイッチいっぱい」モデルは、GibsonやFenderのギターの倍近い価格が付けられていたのです。
複雑怪奇なスイッチ類がうれしい
当時、高校生だった私は、神戸元町にあるロッコーマンに中村さん(故トーラス社長)を訪ねては、AlembicやBC Richのカタログを貰い、帰宅途中の阪急電車で、折り目を付けない様に大事に、拡げては見入ったものです。たぶんこのころのハンドブックのような豪華なカタログも手伝って、私の中に「カスタム・ギター」や「ハンドメイドギター」というジャンルが漠然と「GibsonやFenderよりも、すごいもの」という印象になっていたのだと思います。